【概要】
主に裏社会で名の知れた組織のひとつ。
表社会に於いても、様々な商会や企業、慈善団体として別名でだが知れ渡っている。
優れた各種兵器の製造、効果的な新薬の開発、裏の金融の一端…など、各種分野の業界の発展に貢献している。
だが、裏社会で囁かれているのはそこではなく、たった1人の庶民が、たった一世のうちに、ゼロからそれだけの規模を持つ組織に育て上げた事である。
創始者であるテオキス・エミリットは元々何も持たない庶民に過ぎなかったが、生まれつき秘めていた野望、備わった悪魔の如く非情と打算を活かし、16でと名門と言われた貿易商会に就職、数年の勤務の中で得た知識、時に盗んだ情報と技術を溜め込み出奔。
盗んだ商会の秘密とそれを逆手に取る算段を武器に、様々な組織や団体を巡り、1つずつ確実に味方につけていった。
それから15年、己の姓を頭にした巨大財団が北極の大地を本拠に、世界中に軒を連ねていた。
表社会の文明の発展に尽力する一方、裏では組織した私兵を用いてあらゆる工作を行っており、
敷地や物資、その貴重な力を目当てに様々な希少種族や民族の集落を強襲し、果ては「戦力」欲しさに自作自演当然に戦火を撒き散らし、孤児と化した有能な子を財団に取り込むなど、悪逆非道の限りも同時に尽くす。
しかし、各種情報機関及び治安機関の用人との強い癒着及び根回しにより、エミリット財団の悪事が世に知らされたことは無い。
それらを掻い潜った正義漢の努力で知る人こそ知るが、テオキスの戦略眼はそれを許さず、多くの正義の芽が摘み取られていった。
最近、巨大組織「GGG」の併合を受け入れたという噂がある。
だがそれが真実だったなら、決して巨大な組織に喰われることを受け容れたのではない。
…捕食者の腹を食い破り、逆に捕食者を喰らい、捕食者の全てを内側から奪い取る機を窺う1つの手段に過ぎないのだ。
【<戦力>】
テオキスは私兵には出来ない高度な任務を任せるため、秘密裏に有能と見た戦争孤児、更には己の息子までも「教育」している。
成熟した大人を対象にしないのは、既に自我や精神に成長しきっている為精神的な操作が非常に難しく、不完全に終わってしまうことも多いからである。
「保護」という名目で収集した主に戦争孤児に過酷な戦闘訓練や新薬等によるマインド・コントロールを施し、
肉体的にも精神的にもエミリット財団に染め上げる。
この過程で精神そのものが崩壊したり、一定の期間までに財団に心から服従しない者は抹殺される。
正確な資料は存在しないが、この「教育」によって犠牲になった孤児は3ケタにものぼる…という噂話がある。
そんな「教育」を終了し、財団の要職に就いている(いた)「戦力」を下に記す。
エアリアル(離脱・失踪)
テオキスの実子。
財団がとある希少種族の村落を襲撃、優れた能力と雷の素養を持つ「雷の巫女」と呼ばれる娘を拉致し、テオキス自ら懐妊させ生ませた子。
母親譲りの雷の素養と高い肉体能力、父親譲りの残忍冷酷な精神と鋭い打算、そして父テオキスの思想に心から賛同する、ギャラクシに続く完全な「成功作」であった。
過酷な「教育」も嬉々として乗り越え、他人の命や心を屠ることに彼なりの悦びを見出し、その卓越した戦闘能力であらゆる破壊行動、強敵の抹殺を遂行してきた。
しかし、彼が外界での経験で自我が成長し、テオキスが望む「野望」と少しずつ異なる「野望」を抱くと同時に
実の兄の存在を知り、現代日本まで赴いて感情を揺るがし
未知の存在を相棒を手に入れ、徐々に自身の野望に反する思想を抱くようになった為、
「危険分子」としてギャラクシに粛清させる。
ギャラクシはエアリアルを一方的に追い詰めるが、彼の相棒の起死回生の立ち回りにより逃してしまう。
これが、ギャラクシの唯一の「任務失敗」である。
テオキスはあえて追撃は命じず、全世界の裏組織にエアリアルの「死亡」を通達。
ギャラクシの追撃から逃れた力量から、並の実力者では彼を止められないと判断したのもあるが、
生まれて初めて自身に敬意を抱きつつも反目する我が子という存在に大きな興味を抱き、あえて泳がせ寝首をかく好機を伺っているという。
また、エアリアルの離脱はテオキスにとっては大きな勉学の機会となり、
以後財団に据える<戦力>は、精神がまともに機能していない事を絶対条件としている。
ギャラクシ
エミリット財団が<戦力>の記念すべき1人目。
元々はとある王都に住まう一庶民だったが、元来運動能力が優れており、様々な大会で優秀な成績を収めている事を突き止めたエミリット財団によって15歳の時に拉致され、各種「教育」を施され感情及び精神が崩壊させられ、忠実な「戦力」となった。
卓越した身体能力は暗殺・隠密・防衛…など、あらゆる戦闘行為をこなす刃として昇華させ、白紙と化した精神にあらゆる性別や性格の演技力を吹き込まれ、魔法力の素養を身につけられ 邪魔者の暗殺や裏切り者の粛清、高度の性格演技と変化&変装術を用いた隠密活動を行っている。
自身の自我が消失している為普段は必要時以外は喋らないが、後になって吹き込まれたあらゆる性格の情報を引き出すことで、どんな性格の人物や言葉も忠実に演じる事が出来る。記憶や感覚の情報があれば、完全にその人物になりきることも可能。
戦闘能力も高い…というより異質な域にあり、あらゆる攻撃を受け流し、かわし、
あらゆる敵を暗殺術と特殊槍「スパーダ」で、確実に敵の息の根を止める。
如何なる強者の実力すら文字通り寄せ付けず一方的に命を屠る姿は、まさに「生ける殺戮兵器」そのものと言っても過言ではない。
また、その自我の無さは反逆や離反の可能性をも完全に滅しており、今でもテオキスが最も重要する「戦力」である。
ミスティ&セイクリッド
兄:ミスティ 妹:セイクリッド 共に15歳
エミリット財団の策略によって勃発した内戦により孤児となったところを財団に保護された双子の兄妹。
とある西方の王国同士の戦争によって両親と引き離され孤児になっていた所を保護された。
本名は夫々不明だが、財団で保護されてからはこの名前を夫々与えられている。
習得している者が数少ない「時空」に干渉する属性への適正を持っており、特殊鉱石製の鎌を媒体に空間を引き裂き任意の世界・場所に移動する事が出来る。他にも相手の精神に作用する術式も習得している。
主に空間移動の力を活かした大規模な移動や不意打ち、捕虜の尋問にあたっている。
接近戦における戦闘能力も非常に高く、2人が織り成すコンビネーションは多くの強敵を直接嗤って葬ってきた。
周辺の空間に無数の穴を開け、それらを超高速で行き来しつつ敵を翻弄し、一方的にいたぶる戦法を売りとしている。
元々兄妹仲が良かったが、両親や親類の死を切欠に精神に異常をきたし、たった2人残された兄妹となった彼等は上記を逸した狂愛の絆を結び、常に互いを求め合うかのように熱愛を繰り広げている。
テオキスの「教育」に耐え切ったのも、財団に尽くすのも残された2人で残った生涯を生きる為…という狂っていながらも明白な動機によるもの。
故に財団およびテオキスへの忠誠心は薄いが敵対心も無く、自分達の何より確かな居場所を提供し続ける限り、彼等の立ち位置に揺るぎは無い。
普段はこれらの事情とは無縁な、明るく無邪気、純粋無垢な兄妹。
…若干それらし過ぎて薄気味悪い程に。